骨転移に放射線治療は効きますか。

がんというと耐え難い「痛み」が恐ろしいとイメージされる方もおられるのではないでしょうか?全がんの約半数に骨転移が生じ、再発進行期の患者さんの7〜8割が強い痛みを経験するといわれており、確かに「痛み」はがん患者さんの最大の問題です。放射線治療はその骨転移による痛みを極めて効率よく消失させる治療法です。多くの報告で7〜8割の患者さんで痛みが消失あるいは軽減するといわれています。
わが国は先進国のなかでがんに用いられるモルヒネの量が少ないことが問題視されていますが、モルヒネ使用量が少ないことが問題ではなく、がんに伴う痛みがちゃんとコントロールされていないことが問題なのです。骨転移による痛みを軽減する薬剤にはモルヒネ以外にもビスフォスフォネートなどさまざまなものがあります。もしあなたが骨転移による痛みを感じている場合、躊躇うことなく腫瘍内科医もしくは放射線腫瘍医に相談すべきです。
ところで、放射線にはモルヒネにはないメリットがあります。疼痛緩和にモルヒネだけを使用し抗腫瘍治療を一切行わない場合には、がんの進行に伴い確実にモルヒネ使用量が増加します。しかし放射線を用いることによりモルヒネを減らす、あるいは止めることが可能となります。さらに、放射線治療では骨の再生が起き骨折を予防することが期待できます。これらの事実は比較試験での成績にはなかなか記載されないのですが、我々放射線腫瘍医が普段から感じている手ごたえです。
最後に、骨転移のなかでも脊椎転移は特に大きな問題を生じます。脊椎は大事な神経である脊髄を保護しています。脊椎骨に転移が起きるとこの脊髄を圧迫し、部位により膀胱直腸障害(便意がわからなくなる状態)や四肢麻痺(手足が動かなくなる状態)をきたします。この状態には前触れがあります。手足のしびれ感、トイレ回数の減少(特に排尿の回数)です。もし首や背中が痛くて、このような症状が現れはじめたら2日以内に適正な治療を開始することが必要となります。その治療とは、整形外科的手術か、ステロイドという薬を併用した放射線治療です。適正に治療されたケースでは7割以上で重大な障害が回避できます。(青木幸昌)
   
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