陽子線治療や重粒子線治療とはどんな治療ですか。

放射線治療施設の多くが保有しているのは直線加速器(リニアック・ライナック)であり、そこから発生するX線や電子線を用いて治療を行っています。エネルギーの強さにもよりますが、X線や電子線は、皮膚表面から1〜3cmの深さにピークがあり、体の奥に行くほど放射線線量は減少する性質を持っています。一方、陽子線や重粒子線はX線や電子線とは異なり、体の中のある深さにおいて急激に線量が増加し、狭い範囲にピーク状の高い線量を与える性質を持っています。それを利用してがん病巣にのみに高エネルギーを与えることで多くの放射線を病巣に集中し、その周辺にある正常臓器への線量を少なくすることができます。
粒子線治療の対象部位は、頭頸部、肺、肝臓、前立腺、骨盤部、骨軟部などですが、照射範囲に制限があり、原則としてがんの大きさが最大15cm以下(照射部位で異なる)で、遠隔転移がないことが治療条件となります。現在、日本には治療用の粒子線がん治療施設が5ヵ所、治療研究用施設が1ヵ所あります(国立がんセンター東病院、若狭湾エネルギー研究センター、放射線医学総合研究所、静岡県立静岡がんセンター、兵庫県立粒子線医療センター、筑波大学陽子線医学利用研究センター)。なお粒子線治療は先進医療の認定を受けていますが健康保険の適応とならず、約300万円の治療費は自己負担となります。
一方、X線を用いた放射線治療においても近年の照射技術の発展により、多方向から病巣に限局して照射する方法が可能となってきており、代表的なものに、強度変調放射線治療(IMRT)定位放射線治療などがあります。(奥村雅彦)
   
Copyright© JASTRO All Rights Reserved.